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米軍機だ。
これがブリーフィングルームで聞いたサンダーボルトというやつか。
「散開!」
リリーの指示で各機は編隊を解いて散った。
サンダーボルトの編隊が装甲師団に襲いかかる。
「ロッテで攻撃して。あの頑丈そうな装甲を抜くにはそれが1番いいわ」
「ヤー」
リリーはレナーテとロッテを組んだ。
勝手に編隊を離れることは承知の上だ。
リリーは近くにいる手近なサンダーボルトに狙いをつけた。
速度を上げて近づくが、標的は眼下のⅣ号戦車を狙っていてホフマン機の動きに気づいていない。
射程に捉えると、燃料タンクを狙って機銃を撃った。
命中はしたが、爆発することはなくその場から逃げ去った。
2機はそれを追わずに新たな標的を探す。
背後を確認すると、サンダーボルトが迫っている。
「私が敵を引き付けるからロンバルト兵長は上方に退避、状況を見て私を追う機体の背後をとって」
「ヤー」
ロンバルト機は指示通りに高度を上げて退避した。
敵機はロンバルト機に目もくれずにホフマン機の追撃を続けた。
ホフマン機は速度を上げるために操縦桿を前に倒して機首を下げた。
サンダーボルトもその動きに追随する。
-今よ、背後をとって!-
そう心の中で叫ぶと、重いが通じたのか、ロンバルト機が動いた。
レナーテは機銃をサンダーボルトに叩きつけた。
弾丸はパイロットの頭に命中して脳漿を風防にまき散らしてサンダーボルトは地面に落ちていった。
ロンバルト機は再びロッテを組まずにホフマン機を追い抜いてしまった。
ロンバルト機の向かう先を見ると、双発の機体が飛行している。
機首の周辺にプロペラの姿は見受けられない。
「ジェット機じゃないの! 流石に分が悪いよ、すぐに退避して!」
しかしレナーテは逃げない。
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