名ばかりの中隊

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撃墜された翌日、リリー・ホフマン少尉とメリ・シュトレーゼマン伍長は、リリーの銀髪のツインテールとメリの金髪を風になびかせながら、エプロン(駐機場)で人を待っている。 昨日、飛行場に帰還してすぐにゾンネンハルト司令官に呼び出された。 「リリー・ホフマン少尉、貴官を明日から中尉に、そして第3中隊の新隊長だ」 「えっ、それはどういうことですか?」 隊長は戦死したが、リリーより戦歴の長いパイロットはいる。 「貴官とシュトレーゼマン伍長以外、撃墜されて帰って来ないんだ」 リリーは知り合いや親戚を失った経験はない。 悲しいはずなのに涙が出ない。 一度に大勢の仲間を失ったためか、実感が湧かない。 「ホフマン少尉、聞いているのか?  悲しいのは分かるが今は話を聞くときだぞ」 「すみません」 司令官は咳払いをして仕切り直した。 「明日に4人のパイロットがここに来る予定だ。4人とも第3中隊に配属される」 「4人ですか?」 1個中隊は通常16機編制だから、定員は当然16人ということになる。 今いる2人と明日来る予定の4人を合わせても6人。 戦前の1個中隊の定員12人の半分でしかない。 「仕方あるまい。第3中隊は12人しかいなかったから、16人にするために4人だけ来ることになったのだから。4人とも実戦経験があるから、その点は、扱いやすいはずだ」 確かに14人の新兵よりはマシだと言える。 こうして彼女はメリとまだ見ぬ4人のパイロットを率いる中隊長となった。
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