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隊長として
1944年8月28日 東部戦線 キシニョフ
グレーテル・フォン・ブランデンベルガー軍曹とアンゲラ・ウーデット一等兵はBf109Gに乗り、編隊を組んで飛んでいる。
彼女らの眼下にはドイツ軍のⅤ号戦車パンターや、ティーガーⅠが煙を上げている。
そして目の前にはソ連赤軍のIL-2が単独飛行している。
「あれを落とすよ。私が先に攻撃するから、仕留め損ねたらアンゲラに手柄を譲るわ」
「ヤー(了解)」
2機は高度を上げて攻撃の機会を窺う。
ブランデンベルガー機が降下を始めた。
IL-2は気づいていない。
ブランデンベルガー機はさらに速度を上げる。
1000メートルを切ったところで、こちらに気づいた。
しかし遅い。
有効射程圏内に入ったところで、20ミリ機関砲を撃った。
銃弾は垂直尾翼に命中して吹き飛び、バランスを崩して地面に墜落した。
突如、背後から爆音が聞こえた。
「グレーテル、油断しては駄目ですよ」
IL-2は単独ではなく2機いたのだ。
「ありがとう、アンゲラ。燃料がもう無いから帰投するよ」
「ヤー」
この日はアンゲラが3機目を撃墜し、グレーテルが5機目を撃墜してエースの仲間入りを果たして、曹長になった日であった。
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