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「うるさい! 私に馴れ馴れしく話しかけないで!」
「嫌われちゃった。あたしの機体の燃料少ないから先に失礼するよ」
そう言ってディールス機は戦闘空域を離脱した。
それを見届けると、2機は戦闘を再開した。
逃げるリリー、追うグレーテル。
「迂闊に攻勢に転じれば落とされるわね」
リリーが計器と後ろを気にしながら言う。
グレーテルは強い。
果たして勝てるのだろうか。
「絶対に勝ってみせる!」
一方、グレーテルもリリーを手強い相手と認識している。
「すばしっこい! 狙いが定まらないじゃない!」
細かい機動の繰り返しにグレーテルはてこずっている。
そんな様子を見ている人がいる。
メリ・シュトレーゼマン伍長とレナーテ・ロンバルト兵長だ。
2人は双眼鏡で戦闘の推移を見ている。
「隊長が押されてる」
「そうでもない。たぶん決着つかない」
「えっ?」
そのように話していると、Bf109Gのエンジン、DB605の音が近づいてきた。
滑走路を見ると、2機のBf109Gが着陸している。
ウーデット機とディールス機だ。
2機はエプロンに行き、そこに機体を止めて2人は降り立った。
地上にいた2人は降り立った2人に駆け寄る。
「イルゼさんも見ますか?」
メリがイルゼに双眼鏡を手渡す。
「別にいいよ。もう終わるだろうし」
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