メロとの再会

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「7歳で止まってる?」 「原因は聞き及んでおらぬが、本来ならば十二の歳の頃のはず」 「そうなんだ……。 でも、シオに弟がいたんだね! 良かったね!」 「良かったって言われても会ったこと無いからな」 目線を外す彼の様子からは、複雑な心境なのが見てとれた。 実際、権力争いをしているのは、腹違いといえど血を分けた兄弟である。 彼の感覚にしてみたら一番遠い他人の一人でしかなかった。 馬車は、森を抜けると岩山や岩石が転がる荒野へと走り続けた。 時折、突風が吹いては、黄砂が舞う。 照りつける太陽が、地面を焼き付る。 岩穴からはトカゲやヘビなどの爬虫類が餌を探し求めて鎌首を持ち上げていた。 道無き道を進むうちに岩山は、砂地へと姿を移していく。 肌寒さを感じる頃には、陽は落ち夕闇へ。 ドーハは、砂漠の中央に存在する巨大な川の周りに栄えた都市である。 都市の象徴である石と砂で作られた建物は、四角く、通りを挟んで一つの建物のようにつながっていた。 扇状に広がる建物の中央には、白い宮殿が建ち、球体を模した屋根がドーハの入り口である門からはっきりと見えた。 ところどころに生えたヤシの木や広場の中央に建つ天を突き刺すようなオベリスク。 太陽光から肌を守るように人々は、服を身にまとっていた。
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