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翌朝、三人と一匹は、青年と別れを告げ、街の繁華街へと足を運んでいた。
別れ際、青年は、
「何か困れば川沿いの市場にコイ。 シバラクは、ココで商いをしている」
と言って手綱を握り去っていった。
彼が去った後、
「彼は、やけに親切過ぎるのでは無いですか?」
「何でもシオがカラスだから何だと」
「カラス?」
「俺もよく分からん---って!!
商品を触るな!!
何べん言ったら分かるんだ!」
彼の咆哮の先には、青い瞳を輝かせながら猫の金細工を触る少女の姿だった。
彼女の側には手をこねながらニコニコと微笑む商人が立っていた。
「何? これは、傀儡(くぐつ)では無いわ」
「そーじゃなくてだな!」
このやりとりもすでに5回目である。
悪びれる素振りもなく金細工を商人に渡すと次の店へと歩き出す。
「あのな! 俺たちは、宮殿を目指してんだよ!
オモチャ探しをしてるわけじゃねーんだよ!」
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