序曲

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からからん…― 氷がコップにぶつかり鳴る音は嫌いでもない。むしろ癒されて好きだ。余計に口が渇いて飲みたくなるよな。 『それではニュースの時間です』 バタン  冷蔵庫を閉め椅子に座り天井を仰ぎ少年はストレスや疲れを体から表現した。 「はぁーぁ」 『―先日、全国で三名の行方不明者がいることがあったもようです。―』  聞いたことあるか?ずっとこんな話題が持ちっきりだ。  囚人や釈放者、事故にあった人が悉(ことごと)く、行方不明になり、ある日普通の生活を送っているが。ある者は行方不明のまま。  死神の袖引と言われ悉くいなくなったり現れたりする現象だ。 『―現在三名のうち、一名は何事もなかったように過ごしてるもようです―』 まったくあほらしい噂だ。 ゲームや漫画みたいの噂をはやしたてて何が楽しいのか。有り得るわけがないだろうこんなこと、あったら牛乳に砂糖いれてやるよ。 そんなことより 「彼女ほしいわ…」  少年は今一番叶わない、欲しいものを自然と口から吐くように出した。 『―福島県住まいの身長は164㎝、25歳女性の黒崎宮子さん。インタビューを試みましたが――プツン』 牛乳を飲み干し、氷を口に入れて遊びながら砕く。最近はこれにはまる。コップをテーブルに置き、椅子から離れ歩き出す。 さて、今日はねるかな  青年は部屋に戻り寝た。  明日死ぬ事もしらず。
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