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突然、鼓膜が破れたかのように、少年の世界から音が奪われた。同様に、夕日も教室も先輩も、世界から色が奪われた。
何もない場所---
「…お、おい…」博紀は辺りを見回した。何が起きたのかさっぱり分からない。まっさらな空間に、ただ独りぽつんと立つ自分。「何が起きたのか…さっぱり…分からない…」風も吹かない、光もない、大地の匂いも温かみも、空もない。
「!」
少年の足元に、何かが動く気配があった。黒い線が何かを形作っていく。何もない場所に、何かが描かれていく。「…花?」
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