ｉｆ‐ｲﾌ‐

プラットホームダイブ

放課後の駅前通り。
この時間帯だと食材集めの主婦、買い食い目的の学生なんかで賑わいをみせる。
無論、僕たちも例外ではなく。

「お詫びって言ったらなんだけど、どうぞ。」

洋菓子店「ピアニシモ」で先日発売されたクッキーシュー。
サクサク食感クッキー生地と、バニラビーンズたっぷり濃厚クリームがマッチした逸品。
値段の割に小ぶりなのがネックだが、女子にしてみればそれぐらいが逆にベター。
以上、妹情報。

「あ、なんか最近流行ってるよねこれ。けっこう前から気になってたの。」

いただきます、と一言添え。
サクッと小気味の良い音を立てて、すぐに表情がパァァと弾けた。

「うわ、これすっごく美味しいかも！」

「はむ……、ん、結構イケるな。」

クッキー生地とクリームの相性は言わずもがな。
サイズの小ささがむしろ贅沢感を煽る結果となっていて、早く食べるのがもったいないような気さえさせる。

掛け値なしに美味しい。

「ありがとね、瀬奈くんっ。」

終始幸せそうに食べる宮原を横目に、僕は内心ホッと息を吐くのだった。

妹よ、感謝。