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俺とリンダは今、自転車をこいで海辺に向かっている。
理由は簡単、俺達が向かう目的地(家出先)が、最近俺がテレビで見た2県またいだ先にある『舞島』と言う人口数十人の自然豊かでのどかな島に決まったからだ。
舞島に行くためには、簡単に説明するならまず。
俺達の住む場所から海辺に出て、県境を目指して海辺をすすむ。
この行動を3回繰り返せば、3個目の県から橋が出ており、自転車で舞島に渡る…と言うプランだ。
それ相応の日数はかかるかもしれないが、問題ない。
不幸中の幸いか、今は夏休みだ。
「おいリンダー。海辺ってこっちで本当にあってんのか?…もし間違ってたらお前のケツが痔になるまでお前のきたねーケツを蹴りあげるからな。」
「何様?!!お前もし1人だったら海辺に出る道すら知らねーのに、どうする気だったんだよ!せめて地図ぐらい持って来いよ!!」
「何様だお前!だいたい家出に地図を持っていったらそれは家出じゃねーよ!…旅行だぁぁあ!!」
「知らねーよ!だいたいお前はな………」
なんだコイツ、急に黙り込みやがって…。
てか、どこ見てんだ?
「なぁ、ユージン…天使っていると思うか?…俺はいると思うぜ。だってあそこにいるからな…」
なんだコイツ…キモいな…。
リンダが指差した先には1人の女の子がいた。
見た目は、綺麗と言うより可愛いと言う言葉が似合うような子で、髪がショートカットのいわゆるスポーツ少女のような子だ。
「何イッテンダお前ヴァカなのか?!、あそこにいるのは人だぞ」
「どうやらお前は比喩と言う言葉を知らないみたいだな…人生の2%は損してるな。」
少ないな…。
もはやそれは、損なと言うレベルではないのでは?!
そんなツッコミを、今の淡い恋心にその汚い心を支配されているこのバカに言っても解らないだろうから、スルーの方向で。
「なめるなよ、俺も比喩くらい知っている!
あれだろ…『まるで君は排水口詰まったゴミクズのようだ』的なやつだろ。」
「お前って本当に口きたねーよな…。」
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