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「そんなことよりリンダよ…お前が言うあの天使(笑)って…警察と何か必死に話してないか?」
「(笑)ってなんだ!(笑)って!お前、俺を完全にバカにしてるだろ!!…いやいやそんなことより!確かに!でもあの子、嫌がってるじゃないか!!」
俺はあまり憶測で物事を言うのは嫌いだ。
しかし、リンダが言う天使は確かに警察と話すのを嫌がってるようにも見える。
「でもなリンダ…警察に話しかけられて嫌がるって…いったいどんな状況なんだ?!」
「んな事はどうでもいいんだよ!」
そう言いながらリンダは自転車のペダルを踏み込み、今すぐでも助けに行こうとしている。
「まて、このバカ!助けたいんだったら…いい方法がある。」
ちょっとまて、リンダを止めたまではいいが…助ける?!あの女の子をか?
果たして、助けていいものなのか?
確かにとっさに放った言葉とはいえ、方法がない訳ではない…だがなぁ。
とにかく、やるだけやってみるか…。
「リンダ。今からお前は、あの警察に向かって一直線に自転車ではしれ!後ろは振りかえるな!わかったな」
「おう!…でも、なんでお前は自転車から降りてるんだ?」
「いいから行け!早く!」
「お…おう!」
ここから警察がいる所まで30メートル弱。全力で走って4秒って所か…。
そんな事を考えてる間に、自転車で一直線に向かっているリンダは警察まであと少しだな。
…よし今だ!
俺は全力で警察の所まで走った。
「お巡りさぁぁあん!そいつ!そいつ!ハァハァそいつ自転車泥棒です!捕まえて下さい!」
俺は前を走る、お巡りさんから1人の女の子を守ろうとしている正義感旺盛な青年を指差してそう叫んだ。
「な、何!!…分かった!」
市民の味方のお巡りさんは、とっさの事に戸惑いつつも最優先事項に向かって自転車にまたがり走り出す。
「…っえ?!…マジで?!……ユージンあとで覚えとけよぉぉお!!」
作戦の全てを察したのか、リンダは見事にお巡りさんを引き連れてハネムーンに出掛けてくれた。
これが世に言う、陽動作戦だ。さらばリンダ…永久に。
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