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「案外早く乗れたな」
浩一は船に乗り込み奥の座席に腰掛ける。
瑠美はその隣に当たり前のように腰掛けた。
「でもなんだかんださー」
「…何だ?」
瑠美はニヤニヤして浩一を見つめる。
「浩一ってこういうの昔から好きだよね…つまり…浩一は子供っぽい」
「…お前にだけは言われたくなかったな」
ガタン…
「わっ!」
「…動き出したみたいだな」
船は水を掻き分けて進む。
浩一が水の中を覗き込むと、レールのようなものが見えた。
船はそれに沿って進んでいるようだ。
「楽しいなぁ浩一」
登が後ろの座席から肩に寄りかかった。
「…暑苦しい」
浩一はうっとおしそうに肩を払った。
「きっついなぁ」
「先輩、あそこあそこ!」
司が興奮して向こうを指差している。
その先には水を切り裂きながら近付くサメのヒレが見えた。
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