五年後

3/13
前へ
/49ページ
次へ
「浩一~?」 「………」 「…ん~」 瑠美はゆっくりと浩一に顔を近付ける。 唇が触れる瞬間… ガシッ 「…気付いてらして?」 「当たり前だ、バカかお前は」 浩一は瑠美の顔を掴み、自身から遠ざける。 「ちぇ、いけると思ったんだけどな。何か考え事?」 「ああ、五年前のことを少し…な」 「浩一…」 瑠美は黙って浩一の隣に腰を下ろした。 「大丈夫…?」 「…ああ」 「思い…出しちゃったの?」 「今まで忘れたことはない、簡単に…過去は消せないからな…」 瑠美は顔を伏せたが、すぐに浩一を見つめた。 「大丈夫だよ、私がいるじゃん!私は…浩一のそばから離れないよ」 「…ありがとな、瑠美」 浩一は瑠美の頭を優しく撫でた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加