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しかし、今伊織が居るのは富士でも京都でもなく、東京外周の荒廃地帯[コウハイチタイ]だ。
戦後、東京はライトニング帝国軍基地を中心に再開発が行われた。政府の省庁も並立[ヘイリツ]されると共に、学園や市街地、住宅地等、城下町のように広げられそこには新しい都市が作られていった。
しかし未だに東京都全土を覆うまでには及ばず、繁栄のすぐ横には荒廃が転がっている。
その荒廃した東京で起きている、激しい抗争の渦中[カチュウ]に彼女達は居た。
此方はレジスタンスのグループ二つに対して、向こうは日本のエリアを統治する総督[ソウトク]の正規軍だ。
先日捕まった、旧日本軍の残党兵を乗せた護送トラックを襲撃する筈だったのだが、作戦が読まれていたのか、襲撃目標地点には大量の正規軍とエグゼクト部隊が待ち構えていた。
しかし噂ながらも、そのトラックにはあの“金獅子”である草獅子准尉が捕らえられて乗っている可能性があった。
重要な作戦に引くに引けないテロリストグループ側は、抗争をしながらトラックを追っていたが、今ではグループも散り散りになりトラックも見失っていた。
仕方なく退避命令が全人員に伝えられたのだが、…
「いやー、空気取り込み用の窓すら無いわね」
「天井のエアコン壊せば出れないですかね?」
二人は未[イマ]だ、退避場所とはかけ離れた場所で、身動きが取れなくなっていた。
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