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爆音と共に部屋中が揺れ、砂埃が舞う部屋に二人の女性が転がり込んできた。
慌てながら起き上がり、一直線に走る彼女達のすぐ後ろで、二人の入ってきた入り口はあっという間に雪崩のような瓦礫[ガレキ]に埋まった。
一瞬前に地面を呑み込んだ瓦礫を飲み込んで、雪崩は部屋の中央にまで流れこんできた。
少ない上からの光を失い、真っ暗に変わった部屋に瓦礫は容赦無く砂煙を充満させていく。
やっと雪崩が止まったのは、広い部屋の半分を覆った後だった。
上からの振動が無くなってやっと、一人が堪[コラ]えていた咳を吐き出した。
「ゴフッ!!……けほっ…。…桜芽さん…、生きてます?」
「……なんとかね…。今のは伊織ちゃん居なかったら死んでたわー……」
「…まぁ、偶然なんですが…」
煙った暗闇の中で、二人の話し声が僅かに響いては消えていく。
次に聞こえたのは、溜め息だった。
「…はぁ。完全に埋まったわね…」
「ここから出るのは無理でしょうね…」
片方の女性が何かしたらしく、部屋の中に瓦礫が再び崩れる音が響いた。
その音はすぐ止まったが、二人の身体を小さな振動と再びの砂埃が襲った。
「…けふっ…。伊織ちゃん、二度とやらないでね…」
「…すいません」
瓦礫は少し崩れたが、外の光を通しはしなかった。掘ってもまた上から、コンクリートの塊が沈み込んでくるばかりだ。
「これって…建物丸ごと崩れ落ちたんじゃ…」
「まぁ、ミサイルだからねー。この階層まで潰れなくて良かったわ」
「…落ち着いてますね…。所謂[イワユル]生き埋めという奴ですよ?」
「まぁ外に居たら死ぬ訳だし?助かったと考えましょ。それより電気点かないかしらね~」
暗闇から聞こえてくる飄々[ヒョウヒョウ]とした仲間の声に、伊織は苦笑と溜め息を零した。
一諸に行動したのが、彼女で良かった。と、思いながら。
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