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※※※ 世界は崩れかけている。 10年程前、世界に二人の天才が、時を同じくしてそれぞれとある発明をした。 一人はルード・ライクス・ホール。 半世紀で世界一の軍事国家に上り詰めた帝国“ライトニング”。 その軍事科学開発局第二十八支部で彼が作り上げたのは、人間の乗れる二足歩行型の武器だ。 その名は“エグゼクト” 彼のその発明は、戦車と戦闘機が横行していた戦場の常識を変えた。 地上においてその速度と走行ルートの自由さは、他国を圧倒し次々に勝利を収めていった。 もう一人は、ただ“VAN”と名乗る特許申請者だ。 彼が開発したのは、光を操作出来るエレメントの結晶で、それはあっという間に応用されて武器に利用された。 あらゆる“光”を操作出来るようになったライトニング帝国は、持ち前の軍事技術力をフル活用して、電磁波を使った波動砲や熱線を形状化したサーベルをエグゼクトに搭載[トウサイ]し、諸国がその発明を活用する前に進軍を始めた。 主にこの二人の発明により、ライトニング帝国はヨーロッパを4年で制圧した。 当時最も勢力を拡大していた国に、小さな切欠[キッカケ]から戦争を起こし、4ヶ月で一気に制圧してからヨーロッパ全土の国々に通告を出したのだ。 “降伏し、ライトニング帝国の属国となるならば軍事介入はしない” 余りに直截的[チョクサイテキ]な脅しだが、その軍備の前に頑[ガン]として首を横に振れる国は少なかった。 求めに応じたのはヨーロッパ全土の78%。残りの22%が落ちるまで、たったの3年しか無かった。 そして今でも、ライトニング帝国は世界の掌握[ショウアク]を続けている。 こうして世界は、この10年で大きく変わった。 その波は当然、例に漏れずに東の小さな列島の国にまで及んだ。
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