1・わたしが彼の家に侵入した日のこと

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若い男性の声だ。 姿はカーテンでよく見えない。 家主、というよりも、家主の息子だろうか。 わたしはそう感じた。 (A市は古くからその地に住んでいる人が多いので、若い世代のみの家庭は非常に少ないです。) 幸いその人は、いまだ吠え続けているそのシェパード、ネロに気を取られていて、 わたしの方にはすぐには気がつかなかったので、わたしは急いで石灯篭の後ろへと身を隠した。 ネロは鳴くことをやめ、大窓に近寄り、 その人に顎の下を撫でられると気持ちよさそうにきゅ~んと鳴いた。 「寒いだろ、中入んな。」 そう言って男性はシェパードを家の中へと招き入れる。 「(ナイス。゜(゜´Д`゜)゜。!!!!)」 これで脱出の邪魔物はなくなる……!
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