1・わたしが彼の家に侵入した日のこと

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――――― 「おい。返事しろ。」 そこまで時間は経っていないだろう。 わたしは自分に呼び掛ける男性の声と、頬に感じる生暖かい感触で目が覚ました。 薄めを開けると、わたしの顔を覗き込むふたつの頭。 逆光で顔まではよくわからないけど、 おそらく片方は犬だねwフォルム的にw 頬の生暖かいのの正体も奴の仕業だw めっちゃぺろぺろ舐められている。笑 そしてもう片方は先程見た男性なんでしょうが………。 わたしは彼を見た瞬間、こう口走った。 「救急車!救急車は呼ばないで!」 侵入先で搬送とか……。 (駆け付けた両親はあまりの恥ずかしさに泣くことでしょう。笑) 男性は口角を上げてこう言った。 「第一声がそれなら頭はちゃんと働いてそうだな。イカレたんじゃないかって思ってたけど。」 男性のそのひとことに、わたしは安心して息をつく。 「大丈夫そうです………。ちょっと痛いけど。 助けてくださって…ありがとうございます。」 確かにまだ頭に鈍痛が走る。
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