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失神にて寒中水泳、これほど幸せなことはない。 棒の如く倒れ込む。 手も足も胴体も何ひとつ何も使わず泳ぐこの幸福感、気絶したまま在るがままに。 とにかく水圧が物凄い海の中で呼吸困難にも襲われず気を失ったまま海の外へと顔を覗かせるクリスティーヌ(イヴォンヌ)ゴーギャン自称59歳と3ヵ月。【苦しゅうない!】と 深々と海の底へと沈む。 息が苦しくなったら外の世界へ首を出す、そしてまた海中へと潜る、浮上して顔を覗かせ余計なお世話に首を突っ込む、とコレの繰り返しを行う事によって自然発生する孤独感は水の泡と消えた。 夜の海の闇、後光が射して魅えた。 しかしまだ無人島から遠く離れてはいなかった。 キラキラ光り輝きながら【逃げも隠れもせんぞ!】と言わんばかりに潮の道筋に刃向かい逆流して沖へと戻ろうとするが、水圧の力に押し負けるクリスティーヌ。 【在るがまま運命を受け止めなさい!】ー「こいつぁどうやら魚じゃねえな?」…目覚めの朝、漁師の網の中で『知らぬが仏』だということを思い知った。
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