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キキィーー!
(トラックのブレーキ音)
(うげ、我ながらグロい・・・・・。)
交差点を横断中にトラックが猛スピードで突っ込んで来た。
避けようと、思えば避けることは可能だった。
だけど、俺は動かない。動けないのじゃない。
動かず、壁になる事を選んだ。
何故かって?
さーね。だけど、俺は・・・・。
プルプルの生肉や、肉汁がコロモを突き破りほとばしる。
一秒を1000倍に引き伸ばした様にゆっくりと流れる時間。
歩道に群がるサラリーマン。女子高生。OL。母親と幼女。
誰もがこちらを見つめ、青白いトーチを灯す。
路上にぶちまけられた色鮮やかな赤い血肉。
(ああ。死んだ。死んだねコレ・・・・。)
幼女の顔面にこびりついた肉筒の残骸は、異臭を放ち、油でぎとぎとに濁ったスープを吐き出して
いる。
(ごめん。豚骨ラーメン大好物なんだ・・・。)
ピンぼけした記憶のスナップが天空からしんしんと降り積もる。
(ああ。・・・・・・くだらねぇ。)
(こんな人生、無意味だった・・・・。)
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