10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここは、あの世で、オマエは天使か死神の類なんだろ?」
「うーん。属性で分類すると、それに近しいけれども、ボクはその類の種族ではない。それに、君はまだ完全に死んだ訳では無いよぉ」
歯切れ悪く返事をする変質者な少女に構わず、続けて、
「そーかい。まぁ。どっちにしても俺にとっては無意味でどうでも良い事だ」
「ふぉぇ?」
「泣いたり、喚いたりした所で、現状が変わる訳では無いし、俺は死んじまったなら、それはそれで
仕方がない事だと思っている。だから、今更、騒いだ所て無駄だ。第一、恰好が悪いぜ」
「それはキミの本心なの?」
「もちろん。俺はもう、この世の不条理さに飽き飽きしているのさ、だから地獄でも何処でも連れて行きやがれ」
俺の答えを聞いて、一瞬、変質者な少女の口元に笑みが浮かんだように見えたが、確認する前には笑みは消えていて、代わり真顔で、こう切り返した。
「そうそう。言い忘れてたけど、ボクの名前はプリッツ。夢機関の凄腕エージェントさ」
「どうした?藪から棒に?まぁ、その夢機関とやらは初耳だが俺の名前は・・・・。」
「「嘉藤 正太郎。(かとう しょうたろう)」」
俺の言葉に被せてプリッツが言った。
「なんで俺の名前を?」
「ボクはキミの言う天使や死神の属性に近しい存在だよ。名前をあてるくらい造作ないさね」
得意げに鼻を高くするプリッツ。
「おっさんのコスで自信満々に言われてもギャグにしか見えないな」
すかさず突っ込みを入れてみる。
「にょぁぁ!茶かすの禁止ぃ!それに、コスじゃなくて戦闘服だっちゅぅ~の!」
心底悔しそうに両腕をグルグル回して抗議するプリッツに、少しだけ親近感が芽生える。
最初のコメントを投稿しよう!