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覚束ない足音が真後ろで止まり、悠紀の上着の裾を引っ張った。
『どうしたの?』
しゃがみ視線を合わせると、うさぎがプリントされたハンカチを差し出された。
「つかって」
『ありがとう』
借りて拭き畳んで返した。するとスモッグをモジモジと触って俯きながら悠紀をチラチラと見る。何かを戸惑っているのが誰から見ても分かる姿だ。
『どうしたの?』
「あしたもあそんでくれる?」
『アンジュちゃんはパパの近くに居るの嫌なの?』
「パパあそんでくれないの」
『そっか…』
悠紀は疑問が沸いた。保育所等へ連れて行くのではなく、何故職場に連れていくのだろうか。
『すいません』
「はい」
近くにいた父親に再度視線を合わせた。父親は緊張した表情を見せる。
『保育所に預けないのですか?』
「人見知りが激しく、3ヶ所断られたんです」
『そうですか…』
再びしゃがみアンジュと視線を合わせる。
「あそんでくれる?」
『…アンジュちゃん、お姉ちゃんの事怖い?』
「こわくないよ!だって、わらってくれるもん」
『そっか。明日も遊ぼう』
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