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「…まあいい。
お前には構って
られないんだ。
五十嵐、来い。」
「へ!?ちょ…っ」
腕を引っ張られ
よろめく。
―倒れる
そう感じ無意識に
ギュッと目を閉じる。
だけど、来るはずの
衝撃は一向に来ない。
「……?…ぁ。」
胸のあたりには
何かがあっている感触。
そ…と目を開けると、
金髪が、綺麗な金髪が
視界に入る。
「こらこら、
乱暴な扱いはダメだよ?
乙女ちゃん。
この子は大事な
副会長さんなんだから。」
そう言って、
俺を後ろから
ぎゅ、と抱き締める
ヨウ先輩に
俺の腕を掴んでいた
早乙女先輩は舌打ちをして
バッと乱暴に手を離す。
「…副会長なんて
俺は認めていない。」
静かに、でも怒りを
露にして
俺を抱え込む先輩を
睨みながら言う早乙女先輩。
(…いやそもそも
やるなんて言ってない。
というかなんだこの状況)
明が見たら
喜びそうだな…と思う。
「なんで?
外部生だから?」
「違ぇよ!そもそも
お前が!!!!
お前がこの学園の
生徒会長ってことが
気に食わないんだ!!!!
ただでさえ存在が
鬱陶しいのに、
また生徒会役員を
増やしやがって…!!!!」
そんな叫びに近い
早乙女先輩の声に、
俺は小さく溜息をつく。
(生徒会長…ね……。)
認めたくなかったことが、
事実となって
俺に降り掛かる。
と同時に、やはり
"副会長"の件も
真実なのだ…と嫌でも
頭が理解してしまう。
(…夢だったら、
いいのにな。)
「まあまあ、
落ち着きなよ乙女ちゃん。」
「お前…っ!!!
お前なんかが
この学園のトップで
いいわけがない!!!!」
早乙女先輩の声が
だんだんと大きくなる。
かなり興奮しているようで
言葉を発し、
息を吸うたびに
ぜぇぜぇ…と荒い呼吸が
きこえる。
「まあでも、
相応しいかどうかを
決めるのは生徒たちだし。」
悪びれる様子もなく、
ヨウ先輩は苦笑する。
それを見て
近くにいた姫戸先輩は
はあ、と溜息をつく。
もう見慣れている、
そんな感じだ。
「っ違う!!!!!
お前は相応しくない!!!!
この学園の…っ
この学園のトップに
立たれるべきお方は…
っあの方だけだ!!!!!!!!!」
叫んだ後、肩で呼吸をし
ギッと睨みつける彼は
今にも泣きそうで。
(どういう、ことだ…?
あの方って…)
誰だ、とそう考える前に
バンッとまたもや荒々しく
生徒会室の扉が開く。
「…っ」
扉から入ってきた
人物は、早乙女先輩の
襟首を掴むと
そのまま床へ投げ捨てた。
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