*1Light* 急展開、凶展開。

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「あ、もしもーし おれおれー。 え?詐欺?違うよー 今から行くからさ。」 先輩はいつの間にか 携帯を持ち、 廊下を歩きながら 誰かに電話をかけていた。 『おせーよ!!!!! 馬鹿かよ、馬鹿だろ!!?」 電話の向こうからは 女子みたいな高い、 でもそれとなく 男っぽい声がきこえてくる。 「いやー、姫ちゃん 声大きいよー」 『誰のせいだよ馬鹿ぁ!! てめーのせいで 俺は苦労の連続 なんだよ!!!!死ねよ!!!!!風紀の奴等がい』 隣にいる俺にまで きこえていた高い声が 突然きえた。 代わりに、先程よりも 落ち着いた低い声が 携帯から響く。 …廊下が静かだからか、 携帯からもれた音が はっきりときこえてくる。 『姫、怒りすぎだよ ちょっと落ち着きなって。 あ、"ヨウ"?俺だけど』 「王子ナイス! あと少しでそっち 着きそうだからよろー。」 …この先輩、 "ヨウ"っていうのか。 似合ってるのか 似合ってないのか… 『おっけー。 あ、でもちょっと 急いでほしいなー できたらあと 1分以内に。』 "1分以内"ときこえて 無理だろ、と 心の中でつっこんでいると 「んー、あと1分 追加してくれたら 行けそうだよー。」 …はい? いやいや、体育館まで どれだけ距離あると 思ってるのこの人。 …俺も正確には しらないけれど。 でもまだまだ距離が あることはなんとなく わかる。 『さっすが。 なら待ってるよ。 お姫様、しっかり つれてこいよー』 「その辺りは 抜かりないから 安心して♪ んじゃ、姫たん 適当になだめておいてー」 ここで会長は 携帯を閉じて ポケットにしまい、 よし、と呟いた。 「…あの。」 「ん?急がないと やばいっぽいよー」 「何故かはわかりませんが 物凄く行きたくないです。」 すごく、本当に 嫌な予感しかしない。 「だーめ。 ほらっ、行くよ!!」 「っわ!!?」 俺が逃げ出すと 考えたのか、 ヨウ…先輩は俺を 抱え込む。 突然の浮遊に 驚いて、 俺は先輩にしがみつく。 …抱え込むというか これは… 「初めてお姫様だっこ された気分は どうですか?お姫様。」 「!!!!っさ」 ―最悪だ そう言おうとした俺に 物凄い勢いの風が 俺の身体にうちつける。 …違う、風が 吹いてるんじゃない。 俺を抱えた先輩が、 物凄いスピードで 走っているんだ。 (まさかこれで 体育館まで…!?) あまりの速さと 急展開に 俺はただ驚き、 先輩にしがみつくしか なかった。 .
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