*1Light* 急展開、凶展開。

8/15
前へ
/29ページ
次へ
「―…っ」 …あれから何分、 いや何秒経ったのだろう。 もはや一瞬だった。 速すぎて…本当に 速すぎて、俺は 今だに戸惑っていた。 (な、なんだったんだ 今の…) 動きが止まったため 目をあけると、 目の前には巨大かつ 豪華な建造物。 でも扉を見るかぎり、 こっちは裏口らしい。 「た、体育…館?」 「うん。びっくりした?」 確かにびっくりした… けど、俺的には さっきの先輩の スピードの方が 驚きというか…。 「じゃ、行くよー」 「え?こっち裏口… ってこのまま!?」 「れっつごー♪」 「ちょ、ま…っ 離してくださっ…」 腕の中から逃れようと 抵抗しているのに、 びくともしない。 (いやいやいや。 おかしいだろ… 俺普通に力ある方だと 思うんだけど…) 身長だって、 低くもない。 なのにどうして かなわないのか。 「あっ…会長!! よかったー 間に合…っ!!!」 扉がガチャリと開いて 中から出てきたのは 小柄で銀髪の、 制服をしっかりと着た 少年。 俺を見上げ 何故か口を押さえて 目を見開き、 わなわなと震えていた。 「え、えと…何か?」 「ああ、彼のことは 気にしなくていいよー」 「か、かいちょ… 司会、は… まかせてあるので…ゴフッ」 何故か死にそうな 声を出して悶えている 目の前の彼に 「お役目ごくろーさま」 と先輩は声をかけ、 彼が開いた扉に 入ろうとする。 「ちょ…っ 逃げませんから! だから離し「嫌。」 先輩は、 ぎゅっ…とさっきより 強く俺を抱えて 頬笑んだ。 嬉しそうに。 切なそうに。 意地悪そうに。 「…どうしてですか?」 「もう、 出会ってしまったから。」 「は?それってど…」 どういう意味ですか、と きく前に 先輩は動きだす。 急に動いたため びっくりして 思わず先輩の制服を 掴んでしまった。 「あ…すみませ…」 「いーよ、ずっと そうやって掴んでて。」 そう言いながら 先輩は歩く。 扉の先は少し暗く、 ステージがすぐそこに 見えることから ここがステージ裏だと わかった。 (…なんで こんなところに…?) さっきから 疑問しか出ておらず、 俺はただただ 状況を把握することしか できない。 「ヨウ!遅かったなー 皆もう待ちくたびれてる。」 この声は確か… さっきの電話の 低いほうの…… 「ごめんごめん じゃ、始めますかー♪」 .
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

349人が本棚に入れています
本棚に追加