*1Light* 急展開、凶展開。

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―…明。 銀髪の彼が 明と重なる。 目を瞑っても 思い浮かぶのは明の笑顔。 真っ白で、綺麗で、 太陽のような あの笑顔。 大好きだ。 でも。 ―大嫌い、だ。 …なあ明、お前は今 何してる? ちゃんとクラスに 馴染めたか? ちゃんと友達 …出来たか? 「……。」 「どうしたの?大丈夫?」 「…。」 「五十嵐君?」 「…!あ、はい…。」 銀髪を揺らして、 首を傾げる彼は 心配そうに俺の顔の前で 手をふっていた。 …ぼーっとしていた。 そんな俺は "五十嵐君"と正しい 名字で呼ばれ、 ハッとする。 (明じゃない、 そうだ彼は…) 「あ、俺のことは 由紀って呼んでね! タメ口でおkだし、 よろしく五十嵐君!!」 「え、あ…あぁ。 よろしく、由紀。」 (やっぱり似てる。 でも……) 違うんだ。 何かが、違う。 …君じゃ、駄目なんだ。 「…さっきから えろーい顔で、 何を考えているのかな? 俺のお姫様は。」 「…は?」 いつの間にか 目の前に立っていた 金髪の…ヨウ先輩と いったか。 元凶の、できれば もう関わりたくない 先輩が頬に触れてくる。 (…あったかい…。) その手の温もりに 思わず目を閉じる。 あんまり好まないタイプ、 というか嫌いなタイプの 人間なのに。 そして、こう思うのだ。 ―心地好い、と。 頬に触れられたのは 久しぶりで、 胸の奥がチクリ、と痛む。 『なあ、翔平。』 『何?』 『お前ってさ、 すげー肌綺麗だよな!』 『は?……っな』 『すげー…スベスベだー!!』 「……ぁ…」 過去の出来事が 頭をよぎり、 薄く目を開く。 「…ふぅん。妬けるね。」 「え?…ってな……ッ」 気付いた時には 先輩の顔が目の前、 というかもう0距離で。 ちゅ、という忌々しい 軽い音が生徒会室に響く。 「…俺はさっきみたいな 顔よりも、今の顔の ほうが好きだよ。」 「…っ…け……な…。」 「イイ顔。ん、何?」 ふ、と微笑む顔を見て 思わず拳が出る。 だけど簡単に、 受けとめられてしまう。 「っけんな!!! ふざけんなよ…っ」 怒鳴り声だけが 部屋に響く。 そんな中でも ニヤニヤと笑う、目の前の 男に掴み掛かる。 「ちょ…っ、 …か、会長!!! はやく謝って下さい!!!」 「え、おぉ?何事??」 「うおおっ!! 萌え…たけどマジ喧嘩 ダメ、絶対!!!」 周りの声が 空気のように。 俺は1人だけを 睨み続けていた。 .
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