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      あの日、 『これを見るも見ないもあんたの自由。どう使うかも、ね』 そう言ったお袋が置いていったA4サイズの封筒には、数枚の書類と明らかに隠し撮りだとわかる写真の束が入っていた。 「んで、どうするわけ?」 その書類と写真に目を通しながら、斗真が言った。 「そんなもの、決まってる」 からかいを含んだ目を向ける斗真を睨むようにして言うと、フッと不敵に笑って『やっとその気になったか』って呟いた斗真は嬉々として見える。 それは、何年もうだうだと過ごす俺を見ていていい加減うんざりしていたからなのか、それとも、親友として俺の前進を喜んでくれているのか…… 「いい加減、お前の女関係の後始末をするのも厭き厭きしてたんだよ」 「……いつも悪いな」 前者らしい。が、まぁ……当然といえば当然かもしれないな、と苦笑した。 俺は、何度も目を通した書類をもう一度手に取り、 『対象者 里村月子』 それは月子の身辺調査の報告書。 あの日の会話を思い出していた。 「何だよ……これ」 「月ちゃんの調査報告書よ」 見ればわかるでしょ? と言うお袋に、すげぇ腹が立って、 「ふざけんなッ!」 胸ぐら掴み上げる勢いで怒鳴った。否、女に手は──ましてやお袋に手は上げるわけにいかないから、ソファーを蹴り倒しす事で怒りをそらしたけれど。     
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