修羅の果て

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(プロローグ) 荒れ狂う大河『坂東太郎』と昔呼ばれた利根川 その岸辺に白髪の老人は釣り糸を垂れていた、 持っていた竿を左手に持ち替え空いた右の皺だらけの手を延ばし缶入りの煙草を一本抜き取った トントンと中身を詰め口にくわえ火を点け静かに煙りを吐き出しそのままじっと水面を眺めていた 老人の名は平畑章 初代日本国大統領 あの危機を乗り切って 日本を救い、 いや人類滅亡の危機に 再生の筋道を示した 男だった 「煙草は体に・・・」 平畑に話し掛ける声がしそばの草むらが揺れ動き虫がとびあがる 寝転んで空の雲でも見て居たのだろうか これまた老人 起きあがった男の名は 山下正信 彼は平畑の再生計画を 発案した人物で平畑の友人だった 今から40年前、日本は歴史上かって無い危機を迎えていた テレビで地球温暖化が 叫ばれ日本で 年間平均気温が半世紀前より3度上昇し南極圏の氷が溶けだし アルプスの氷河も後退し海水面が年間5㎝上昇 亜熱帯性気候の日本に スコールが頻繁に 降り注いでもはや熱帯地方と呼ばざるを得ない状況が続いた、 覚えいるテレビ放送は、後何年で 地球の重さと人類の 重さが天秤で釣り合うのだろうと 何かのコマーシャルが流れていた 世界人口の爆発的な増加をネタにしていた しかし現実には質量保存の法則上有り得ない しかし 地球上の有機物を食い尽くし燃やし尽くした人類の明日に待っている現実は 爆発的な二酸化炭素の増加である、 炭素を含んだ有機物の燃焼に寄って発生する二酸化炭素が成層圏に厚い壁を作って保温材となって 地球温暖化を招くと考えられていた。 逆説として 今の気温上昇は太陽と地球の関係から起こる周期的な温暖化現象で今後は太陽光線が二酸化炭素の壁により地球上に届きにくくなって 地球は冷却化に進み氷河期の再来を叫ぶ 研究者も存在した。 いずれにしても人類が火使い有機物を燃焼させ、 そこから発生する熱エネルギーを利用する事を 発見して以来 増え続けた二酸化炭素が人類に大きな代償の支払いを 要求しだしていた。 uruto5~masanobu
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