序章

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少女は気づかない 竹刀を振る事に夢中で 手のマメが潰れ、己の血が竹刀に滲んでいる事さえも気づかないのだ すると木の影から一人の青年が出て来る 目つきが鋭く、スラッとした鼻、形のいい唇、役者顔負けの顔立ちだ そんな彼は漆黒の黒髪を後ろで少し高めに結っていて、これまた漆黒の着流しを着ている ………手には竹刀を持って 「おい」 青年が少女に声をかける だが少女の耳には届いていないようだ 青年は溜め息をついて少女の目の前に立ち、再び声をかける 「おい」 すると少女は気づいたらしく竹刀を振るのを止め、青年に言う 「……何ですか?」 普通の人が聞けば声変わりをしていない少年だろう だが青年はそれをあっさり見破る 「お前女だろ?なんで竹刀なんか振ってんだ」 青年は少女に握られている竹刀を見つめる これが少女と後の《鬼副長》、土方歳三の出会いであった .
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