プロローグ

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今までも目覚ましのかけ忘れがあった時はわざわざ俺を叩き起こしに来ていたので、母は今日からまた俺の学校が始まるという事を失念している様だ。 母にツッコミを入れたかったが、そうこうしてはいられない。 十五分で身支度を整えて学校へと奔走を開始し、つい先程急に横切った人影とぶつかり合って、体制を崩して倒れた……という状況に、俺は今置かれている訳だ。 全く、不幸続きで腹が立つよ。 「──ぅ、ん」 そういえば、俺とぶつかってしまった相手は大丈夫だろうか。 「ほえぇ……びっくりしたぁ」 高めの声質。 その声が依然チカチカとしている俺の脳内をスッキリさせてくれる。 これはどう見ても俺の前方不注意だよな。 悪い事をした。 怪我してなきゃ良いんだけど。 「だ、大丈夫ですか?」 ふと身を起こそうとした俺は、体の異変に気が付く。
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