第一章

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  ────…        「んー、スッキリした。」   少女は音楽を止めて一つ伸びをし、床にあぐらをかき座り込んだ     「フゥ、今日もよく踊ったぁ」   ガシガシ、とタオルで自分の髪についた水滴を拭き取る。      「それにしても暑いなぁこの部屋。エアコン…あれ…リモコン無い」     「よっこいしょっ…」と、立ち上がりエアコンのリモコンを部屋中キョロキョロ探した     「あ、あった。」   しばらく探していると、棚の上にちょこんとある白いリモコンを見つけた   すぐにこの暑い部屋とはおさらばしたい一心でリモコンを手に取り画面を操作しはじめた   「送風切り替え…なにそれ?どれが良いのか分かんない──…」   んー…と悩む         ──ガチャッ     すると突然、ドアが開いた。   「うわぁあ!!だッ、だ、誰ッ?!」 びっくりして振り替えった先に居たのは…──           「……なんだ。パパかぁ」   ピクリ、と眉が動いた。   「父親に向かって“なんだよ”は無いだろうが、なんだよは。」    スーツ姿でドアの前に仁王立ちして、眉にシワを寄せ上から睨んでいる。  明らか不機嫌だ。      ──こ、怖い。     「だって…ノック無しにパパがいきなり開けるもんだからビックリしたんだもん…」あまりに怖い自分の父の顔に肩をすくめながら、ボソボソと小さく言った   「いきなりも何も、ここは誰の会社だと思っているんだ。」       「……パパの、です。」   チラッと上を見て、小さく呟いた。      そう、此処はパパの会社。    私、中谷乃亜のお父さんはテレビ局の社長サンなのです。   「そうだろう?此処はパパの会社。だからパパが居たって何にもおかしくない事くらい分かりなさい?それに、またダンスの練習か。ダンスも良いが勉強も──」   「ハイハイ、分かった分かった。分かったってば…!」      いつものお約束の説教に「ハァ…」とため息が出た。   「乃亜、いつもお前はそーやって口ばっかじゃないか。この前のテストだって前回よりも…」     またお約束の長い長い説教が始まった…と思っていると    ──…ヴーヴーヴー   突然パパの携帯のバイブが鳴った。    父はすぐに自分のポケットから携帯を取出し、こちらをチラッと見てから、「分かった。」とだけ返事をして電話を切った。     「悪い。この話は家に帰ってからゆっくりするとしようか。それじゃあ、急ぐからまたな。」     と、最後に私の頭をくしゃくしゃっとして部屋を小走りで出て行っていってしまった。
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