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ガチャッ…
「………んっ…」
………何の音?
私は身体を起こす。
目を開けると昨日の人がいた。
「あ!!ごめん…起こしちゃった?」
男の人の手にはお粥がある。
「あ、これ!!君に………身体大丈夫?」
お粥を私のとなりにある机に置く。
「よかったら、食べて?」
ニコッと笑う男性。
なんか、心が安らぐ笑顔………
「あ、ありがと…。身体はもう大丈夫………」
丁度お腹が減っていたのでお粥に手を伸ばす。
「ねえ、名前教えて?」
名前…………?
私の、名前……………
リリム…………で合ってるのかな?
「あ!!えっと、別に深い意味はないから!!ただ君って呼ぶのってなんか悪いからさ!!あ、俺は上谷優だから!!」
慌てて言う上谷さん。
…………どうして慌ててるんだろう?
まあ、いいや。
「私は、リリム………だとおもう。」
確信が持てないので、曖昧に言う。
「リリム?いい名前だね!!…名字は?」
名字?
…………わからない。
「ほら、いきなり下の名前で呼ぶとか失礼じゃん!!だから、教えてほしいな~なんて、ね!!」
なるほど…
でも、わからないし……
「ごめんなさい…私、わからない。」
「え?わからないって……?」
どういう意味?って顔をしてる。
「私、記憶がないの。」
驚いた顔をする上谷さん。
「じゃあ、自分が何処に住んでいるかとかもわからないの?」
「はい…。」
鞄とかも持ってなかったし………保険証とかあれば良かったんだけど…。
「そっか………弱ったなぁ………えっと………」
あぁ、私の名前しか知らないから困ってるのか…。
そうだよね、私でも初対面の人を下の名前で呼ぶのにちょと抵抗があるもん。
でも………
「私、上谷さんの事優って呼ぶね。だから、優もリリムでいいよ?」
彼にたいしては抵抗が生まれない。
「あ、うん!!リリム!!」
ニコッて笑う優。
優の笑顔、本当に心が安らぐ。
自然に私も笑顔になる。
「あ、あのさ!!リリムって自分の事名前しかわかんないんだよね?」
「あ、うん……。」
そうだ、私自分の事何もわからない…………
わかることと言えばユキヤが私の恋人って言うことだけ。
「良かったら、俺の家にいてもいいよ!!」
……へ?
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