喪失の日

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互いの魔法が炸裂し、光が幕のように夜空に拡がる。 (どうくるかしら?) なにかに遮られては、彼女の『邪眼』の力は働かない。 備えのため、屋根から屋根と跳び移り、距離を取っていく。 光の幕を突き破る者がいる。 二メートルほどはありそうな、巨漢。 頭髪の半分は白く染まっている老人。 強靭さもしなやかさも感じさせる手足。 黒いジャケット。 屋根という足場をものともせず、一直線に彼女へと向かってくる。 (それが、あなたの『邪眼』対策ってわけ!) 老人が、魔力を込めた剣を最短の距離で突き出してくる。 大鎌の刃で、彼女はなんとかその突きを受け止めた。 老人は止まらない。 突き、斬撃。 最短を、重量のある攻撃で衝いてくる。
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