喪失の日

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彼女の能力である『邪眼』は、相手の先を視る。 相手がどう行動するかわかった状態で、彼女は戦える。 だがこの老人は、知覚されていてもお構いなしである。 こちらの反応速度を凌駕する強烈な攻撃を、最短最速で叩き込んでくる。 視えていても、優位に立てない。 「女性の扱いが……!」 老人の剣を、大鎌の柄で受け流す。 突きが危うく耳を掠めかけ、彼女はひやりとした。 掠るだけで顔の半分ほどが吹き飛びそうな勢いである。 攻撃を受け流すことによりできたわずかな時間に、一瞬で彼女は魔法を組み立てた。 大鎌の柄から離した手の先に、光が生まれる。 しかし、老人の手にも光。 接触に近い距離から、光を撃ち出し合った。 ぶつかり、弾け、その破裂の波に呑まれる前に、彼女も老人もその場を離脱する。
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