選抜の日

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ストラーム曰く、気分転換ということだ。 ノックをすると、入れ、と返事があった。 声を聞けば、ストラームの精神状態がどういったものか、大体わかる。 今の機嫌は、良くもなく悪くもなく、というところか。 扉を開くと、ストラームの背中が見えた。 窓辺に立ち、外を見下ろしているようだ。 ストラームがなにを見ているのか、ランディにはすぐわかった。 自治体が管理する公園がある。 そこには、ストラームが火事に見せ掛け焼いたが、自治体により修繕され、ストラームが地盤沈下に見せ掛け地中に埋めたが、自治体により引き揚げられ、ストラームが竜巻による被害に見せ掛け破壊したが、自治体により修復された、『英雄ストラーム・レイル』の像が立っている。 善良な市民にとっては、厄除けのような物だった。 ストラーム・レイルが『バーダ』第八部隊の隊長をしているというだけで、おとなしくなる者はこの地区に大勢いるだろう。
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