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「何だよ?エリス。今忙しいんだ」
再び葉の間から、アルクエットが顔を出す。
その顔はうっとうしいものを見る、正にそのままの表情をしていた。
「忙しいんだ。じゃ、無いわよ。モルベンさんが呼んでるわよ」
一瞬アルクエットは、何かを思い出したように目を開き、「やべっ!今日だっけ?」と一言発すると、顔を引っ込めた。
そして数秒の後、縄梯子が投下され、町一番の大きな木の上から、滑るように少年アルクエットが、降りてくる。
アルクエットは、「急ぐぞ!エリス」と残し、町の中心地に向け、風のように走り去って行った。
一人残された少女、エリスは、口を開け、暫く呆気にとられていたが、状況に気が付くと、「あぁー、アルク待ってよー!」と叫びながらその後を追って行った。
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