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弐
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少し息を乱しながら剣を構えていると、ヒイラギがあれっという顔をし、ニィっと口角を上げた。
「やあっと人を斬る覚悟が出来たんですね」
笑いながら俺の鞘から抜かれた剣を指さしてくる。レンはそれを見ても何も言わなかった。
「あはっじゃあ前の続きしましょーよ!」
そう言って俺の真正面に飛んでくると、思いっきり剣を振り下ろしてきた。重い音が鳴り、次いで刃のぶつかり合う音が途切れることなく響く。
目線を反らすことなく剣撃を繰り出していると、しゅっと互いの剣が頬を掠めた。チリリとした痛みが頬を走る。
ヒイラギは自分の頬を流れる血をペロリと舐めとった。
「うんうん。やっぱ真剣同士の殺し合いはいいですね!でもぉ君まだ本気出してないでしょう?そういうのってちょっと面白くないなぁ」
眉間に皺を寄せ不満げな顔をする。息をつきながら周りに目をやると、ヒイラギ以外の盗賊は大方紅と警備隊に捕らえられているのが分かった。
紅の奴らはヒイラギと戦っているのが俺だと分かると、驚きの顔をした。レンは変わらず無表情で俺たちを眺めている。
「ちょっとちょっとー!余所見は失礼なんじゃないですか?それに本気出して下さいよーってあぁ!」
ばっと俺から離れたヒイラギが名案が思い浮かんだっというように嬉しそうに笑った。
「本気、出さざるをえない状況にすればいいんですよね」
笑顔に不釣り合いな冷たい声でそう言ったかと思うと、すっと姿が消えた。背中にぞわっと嫌な気配を感じ振り向くと、ヒイラギが少し離れた所に立っていた。
ヒイラギの前には、紅の奴。ソイツはヒイラギが後ろに立っていることに気づいていない。
「ねぇ、また仲間が傷ついたら、本気出すよね?」
振り下ろされる刃
驚いて動くことのできない仲間
走り出した俺とレン
赤い血が、地面に落ちた。
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