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参
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ぽたりぽたりと赤い雫が地面に落ちていく。
しんとした空気を、ヒイラギの驚きに満ちた声が破った。
「へぇ…今度は逆ですか」
ぼたぼたと血が落ちて、赤い水たまりを作る。左肩が焼けるように熱い。
俺の後ろで慌てたような声が聞こえた。無事みたいだな。間に合ってよかった。
「今度は君が身を挺して庇うとはねぇふぅん」
笑いを引っ込めたヒイラギが、無表情で俺を見下ろす。右手に握られた剣は俺の左肩に刺さったままだ。
周りの奴らはただ驚いていた。レンですら、目を見開いて俺を見ていた。
「面白くないなぁー庇うんじゃなくて、俺を殺す勢いで斬りかかってきてほしかったのに」
ヒイラギは無表情のまま、俺の肩から剣を抜こうとしない。
傷口が熱い。
その痛みを目を閉じてこらえ、俯いたまま静かに口を開いた。
「俺の覚悟ってやつ、教えてやろうか」
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