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覚悟 壱
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俯いたまま言葉を続ける。
「さっきお前言ったよな。殺す覚悟ができたんですねって。それは違う。俺には人を斬る覚悟も殺す覚悟もねぇ」
「…へぇじゃあ何の覚悟を持って此処にいるんですか」
試すような声音が降ってくる。俺はゆっくりと顔を上げ、口端を吊り上げた。
「仲間の命を背負う覚悟だ」
刺さったままの剣を、左手でぐっと握る。赤い血が刃を伝って地面に落ちる。
俺の行動に驚いたヒイラギは、とっさに剣を抜こうと力を込めた。それ以上の力で刃を握り締め、一瞬隙のできたヒイラギの懐に潜り込んだ。
血が落ちる。
今は痛みなんてどうでもよかった。
懐から首輪を取り出し、空いてる右手でヒイラギの首にあてる。一瞬赤い石が光り、キィィンと高い音と同時に首輪がしまった。
驚くヒイラギの肩を押し地面に倒す。刺さっている剣を肩から抜きヒイラギから奪う。両手で剣を握り締めて、ザンっと下に突き刺した。
ヒイラギの首の真横に剣が刺さる。
全ては、一瞬だった。
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