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弐
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両足で相手の動きを封じ、今度は逆に俺がヒイラギを見下ろした。
首の横に刺した剣を握り締めると、ぼたぼたと血が剣を伝う。
「命を背負うからには、全力で守る。お前なんかに、傷つけさせない」
刃をぴたりと相手の首につけた。
「自分が傷ついても仲間を守り抜く。それが俺の覚悟だ」
その場に俺の声だけが響いた。
その後は追い付いたヒトエ隊長の指示に従って全員が動き、盗賊を捕らえていく。ヒイラギは能力が封じられたことに気付いたのか、大人しく捕まった。
俺はというと、ヒイラギを捕らえた後ヒトエ隊長に小脇に抱えられて警備隊本部へと連れて行かれた。そしてどっせぇーいと医務室に投げ込まれ、ハスミに泣きながら治療された。
治療の後は、いなくなっていた間のことを聞かれるかと思ったが、ハスミはそれに関して何も言わず、無事で良かったです、と言って俺の右手を握った。ハスミの手は小さく震えていた。
ごめん
ありがとう
俺はそればかりを繰り返した。
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