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参
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掴んだ手が震える。
ぎゅっと力を込めて腕を掴んだ。
ツバキはまたもやハァと溜め息を吐いて、空いている手を俺の頭の上にのせた。
「お前が無事で良かった」
その言葉を聞いた瞬間、押さえつけられていた枕を剥ぎ取り、勢いよくツバキに抱きついた。
腕に力を込め、ツバキの胸に顔をうずめる。
「なぁっ!?ちょっおいマメチビ!」
ツバキの慌てた声が聞こえたが、構わずしがみついた。顔をうずめながら、小さく呟く。
「ツバキが無事で良かった」
背中の傷に手を当てないように、けれど強い力で抱きついた。
ツバキの空いた手が所在なげに空中をさまよう。その手が俺の体に回されれようとした時、横に設置されたベッドからデカい叫び声が響いた。
「ぎゃー!ツ、ツバキさん!何マメ野郎とイチャこいてんですか!」
「んなっ!スイ!何言ってんだテメェ!お、俺がこんなマメチビといいいイチャこくわけねぇだろ!」
「スイ!」
ばっとツバキから離れスイの方へ向かうと、思いっきり抱きついた。
「ちょっマメ粒!?」
「良かった。スイも無事で。本当に良かった」
ぎゅうっと抱きついている俺にスイは小さく溜め息をつくと、ぽんぽんと俺の頭を叩いた。
「たく、俺より年上なら年上らしくしろっての」
呆れたような声は、優しくて暖かかった。
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