4章 帰りたい場所

33/38
前へ
/274ページ
次へ
四  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ その後、ヒトエ隊長は盗賊退治の後処理に奔走し、俺は休養を命じられた。肩の傷より生身の刃を握った左手の方が重傷らしく、物を持ったり激しい運動は駄目だと念を押された。 事件解決から2日後、ヒイラギや他の盗賊達の処遇が決まり、俺たち紅もエイランへ帰ることになった。 「えっヒイラギが?」 「あぁ。シオンに会わせて欲しい、と言うんだ。奴、捕まった後は不気味なくらい大人しいんだが、ひたすらお前に会いたいって言うんだよ」 ヒトエ隊長が顎をぼりぼりかきながら、どうしたもんかという顔をする。ヒイラギは他の盗賊と違って、皇国の警備軍へと引き渡されることになっている。 「どうするシオン。お前さんが会う必要はないが」 「会います」 ヒイラギが何を考えているかは分からないが、このまま放っておくのも気持ち悪い。 俺はヒトエ隊長に連れられて、ヒイラギが捕らえられている特別牢へと向かった。  
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

333人が本棚に入れています
本棚に追加