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ヒイラギ
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カツンカツンという靴音が反響する。
ここだ、とヒトエ隊長が牢の前で立ち止まった。
「あれー隊長さんじゃないですか。どうしたんですか?」
にこにこ屈託なく笑うヒイラギに、ヒトエ隊長は眉を寄せた。
「連れてきたぞ」
「え?ってあぁ!おちびさん会いにきてくれたんだ!」
かしゃんと鎖のぶつかる音を立てて、こちら側に走りよってきた。手錠と足枷が付けられた状態で捕らわれているというのに、ヒイラギはこちらが拍子抜けするほどに、嬉しそうに笑った。
「君と最後に話したかったんですよ、2人っきりで」
「おいっ!何を言っている!2人っきりは許さんに決まっているだろう!」
怒鳴るヒトエ隊長を手で押しとどめ、ヒイラギを真っ向から見つめた。
「大丈夫です、ヒトエ隊長。数分でいいんです。2人にして下さい」
渋りながらもヒトエ隊長はその場から離れた。
しんとした牢の中、鉄格子を隔てて俺とヒイラギは2人っきりになる。
「で、話ってのは何だ」
腕組みしながらヒイラギを見据える。
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