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弐
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少しふてくされながら、自分も馬車に乗ろうと荷物に手を伸ばす。肩を動かすとズキンと痛む。それを堪えて腕を動かした。ところが俺の手よりも先に、誰かが横から荷物を手に取り歩いていく。えっと顔を上げると、ぱしーんと後ろから頭を叩かれた。
「だっ!」
「何とろとろしてんだよ」
「早く乗らねぇと置いてくぞチビ」
「へ」
ぽかーんと前を見つめると、紅の奴らが俺の荷物を抱えて先を歩いていた。
「えっ、あれ、荷物」
状況が理解できず混乱する。
だって紅の奴らは俺のことを無視するばかりで、あちらから話しかけたり、ましてや荷物を持ってくれるなんて有り得ないじゃないか。
突っ立つ俺に向かって再度声が掛けられる。
「早く来いって言ってんだろ豆」
そっぽを向きながらぶっきらぼうに言う。でも、その声には嫌悪感なんて微塵もなくて。
「紅に帰るぞ」
暖かさがあったから。
「っ!うんっ!」
少し泣きそうになりながら、みんなの方へ駆け出した。
少しずつだけど、変わり始めている。
俺も、紅も
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