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弐
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写真を右手に持ち、キリヤを見つめる。
取り出した写真に目をやったキリヤは、目を見開き驚愕の表情をした。だがすぐにいつもの食えない笑みを浮かべ直し、口を開いた。
「1年前の事件ー?なんでそんなの知りたいのぉ?」
「なんとなくだけど、その事件がレンとチガヤに関係してるんじゃないかと思って」
そう、なんとなくだけど、この事件は無関係ではないような気がするんだ。
じっと相手を見つめると、キリヤは眉間に皺を寄せて不思議そうな顔をした。
「シオンちゃんさぁー何でそんなに他人の事に首突っ込もうとするの?」
俺が何か言う前に更に言葉を重ねる。
「だってさぁめんどくさくない?他人の事に関わったってさぁ疲れるだけじゃん」
心底不思議そうに聞いてくるから、俺もキリヤが何故そこまで不思議そうにするのかが分からない。
「他人って言っても、紅で一緒に働く以上仲間だろ?仲間の事を気にかけるのがそんなに変か?」
今度はキリヤがポカーンとする。気にせず言葉を続けた。
「お前にとってレンは他人じゃないだろ。付き合いの長い仲間なんだから」
「仲間…?」
ぽかんとしていたキリヤは小さく呟くと、次いで口を弧の字にして笑った。
「仲間ぁ?あはーそれは違うよぉ」
キリヤが俺の方へと二歩近づきすぐ目の前に立つと、俺の耳元に顔を寄せた。
「そんなお綺麗な関係じゃないんだよ」
言うなればぁ
「共犯者?」
耳通りの良い声が鼓膜を静かに揺らした。
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