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四
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俺のどもりようを不審に思ったのか、ガーゼに指を這わせるとびりっと一気に剥ぎ取った。
「あだあっ!」
「…へぇー」
痛みに悶える俺は、一瞬にして部屋の温度が下がったことに気づかない。
ゆっくりとキスマークの上を撫でられ、背筋がゾクリとする。
「ふぅーんそういう事かぁ。何、体使ってアイツ等に取り入ったの?」
「はぁっ!?」
「地味男のクセによくやるねーアイツ等もこんなダサ男に簡単にほだされてさ、馬鹿だなぁ」
「なっ!ふざけんなよキリヤ!何勘違いしてんのか知らねぇけど、アイツ等まで愚弄すんのは許さないからな!」
軽口を叩きながら俺を受け入れてくれた奴らの顔を思い浮かべて、キリヤに怒りをぶつけた。
アイツ等を馬鹿にするのは許さない。
キリヤはゆっくりと顔を上げると俺を見下ろしてきた。その顔を見て体の動きが止まる。
いつものにやけた笑みはない。
無表情
何の感情も映さない瞳
怒りも嫌悪も何もない
一瞬怒りを忘れキリヤを見つめる。
「あぁー…、ほんと面白くない」
ぽつりと声が落ちるのと、肩を強く押されてベッドに倒れ込むのがほぼ同時だった。
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