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弐
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
小刻みに震える手を握りしめるも、震えが止まることはない。
情けない
俯いて黙っていると、カエデが立ち上がり俺にばさりと上着をかけ離れていった。
「ほら」
上着を羽織り俯いていると、すっと目の前にカップを差し出された。カップからはゆらゆらと白い湯気が出ている。
「これ飲みな」
俺の両手を優しくつかみ、カップを持たせる。
「熱いからゆっくりな」
俺がカップをしっかり握ったのを確認すると、ゆっくりと俺から離れる。ベッド横にある窓に近寄り壁にもたれ掛かると、持っていたもう一つのカップに静かに口をつけた。目線は窓の外に向けたまま、何も言わない。
無言の気遣いがありがたく、カップの温かさにほっとしながら口をつけた。
喉を通るほのかな甘さが、体の震えを落ち着けてくれるような気がした。
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