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夕日のオレンジが夜の闇が混じり合う午後6時。
まだ4月。
さすがに夜は少し肌寒い。
パチンコ帰り。
人気のない線路沿いを佐野は歩いていた。
ツイてなかった。
もう少し早くパチンコ屋にいっていれば、いい台があったはずだ。
それに加え、切れた口端がヒリヒリと痛んで煩わしい。
それもこれも幸村、あいつのせいだ。
昼に廊下であいつに会ったのが運の尽きか。
いいや、きっとあいつと出会ったのが運の尽きだ。
そうだ、あいつは顔を合わせれば喧嘩をふっかけてくるのだ。
中学の時から高校に入ってからも。
そんなに俺と喧嘩するのが楽しいのか?
だんだん疑問になってくる佐野。
「‥まぁ、いいか」
けれどすぐ面倒になって考えるのを止めた。
だた次に幸村に言うのは、だた一つだ。
幸村は怒るだろうか。
いいやきっと怒るだろう。
眉を寄せ、睨みをきかせながら怒鳴る幸村が目に浮かんで、佐野はフッと笑った。
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