ある日の出来事

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預言者の花嫁の原因であったブラックストーンを、預言者であったダネルがリディアの体内から取り出すことに成功した。 そして、エドガーの中にあったプリンスの記憶を、ブラックストーンを使って消すこができ、闇組織を滅ぼし、真の自由を手に入れたエドガーとリディアであった。 それから一年という月日がたった。 目が覚めると、目の前には自分を穏やかに見つめるアッシュモーヴ(灰紫)の瞳があった。 「エドガー、起きてたのね」 見つめられていたと思うと、少し恥ずかしくなりうつむいた。「おはよう、僕の妖精」 照れ臭い言葉をさらっと言って見せる彼が自分の夫と思うと少しおかしくなった。 「いつ眺めてもとても愛らしい僕の妻の寝顔を、いつでも見つめることが出来るのが僕だけの特権だと思うと…」 毎回のごとく始まる口説きだか、今だ慣れない。 その無限の口説きも、今日は聞いている時間など無いのだ。 「エドガー、今日はご友人に誘われているでしょ」 そうなのだ。 エドガーの友人の夫婦とともに薔薇園を見に行く予定であった。 「そんな約束ごときで君との時間が裂けるわけ…」 「エドガー、約束したなら行かなきゃ行けないのは分かっているでしょ?」 もうこれ以上エドガーが喋っていては拉致が開かないので黙らせた。 「分かったよ、準備をしょうか…」 残念そうに肩をすくめたエドガーを残し、寝室をでた。 出掛ける支度ができ、エドガーと共に馬車に乗った。 「今日行く薔薇園は百種類以上の薔薇が咲いているそうだよ」こちらに微笑みかけたエドガーの顔は本当に幸せそうだった。「えぇ、とても楽しみだわ」 こんなに幸せな日々がやって来るなんて…、プリンスと戦っていたと時は夢のようだった。 だから、これは夢ではなく現実なんだと握られた手を見つめ実感した。 ついた薔薇園の入口には、今日誘われた貴族たち馬車が止まっていた。 「やぁ、アシェンバート伯爵、アシェンバート夫人」 声をかけてきたのは、今日薔薇園に誘われたウェンベルト伯爵夫妻だった。 「今日はお招き感謝するよ」 エドガーとウェンベルト伯爵が会話を始めたので、ウェンベルト夫人と薔薇園を見に行く事にした。 「リディアさんとお呼びしてもよろしいかしら?」 美しいブロンドで雪のように白く透き通った肌をしたウェンベルト夫人が微笑みかけた。 「えぇ、喜んで」 「でわ、わたくしのことはルーシーと呼んでくださって」
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