2・闇

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それから一年ほど家に引きこもり、出仕する事の無い日々を送った。 時代は天下泰平の江戸期である。 水石藩の町方廻りが、現在で表すところの警察職とは言え、実際に人を斬った者などほとんどいなかった。 任務の最中により罪にこそならなかったが、人を斬ったという個人の命と人生を終わらせた事実は、当時の鷹利の心に罪悪感という硬い鎖をかけた。 『不世出の鷹、地に墜ちる』 町方の奉行所内では、同輩たちがそんなふうに彼を哀れみ、また妬みから嘲笑する者もいた。 村山鷹利はもう駄目だ。二度と職務に戻れないだろう。 だが、誰もがそう思い始めていた頃、再び彼は町方廻りの職に戻った。
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